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備蓄米放出でコメ価格は「一時的下落も効果続かず」51%

昨今の米価の高騰を抑えるため、政府は備蓄米を放出し、在庫がなくなった場合にはコメの緊急輸入も検討するとしています。また、米価が下落した際の農家の経営支援の在り方についても議論を進めています。これらの政策が米価に与える影響や、コメの輸入拡大などについてどう考えるか、6月3日と4日に全国の18歳以上の1,000人を対象としたオンライン調査を実施しました。

調査結果サマリ

備蓄米放出でコメ価格は「一時的下落も効果続かず」51%

- コメ輸入「拡大すべき」「拡大すべきでない」39%で拮抗 -

備蓄米放出でコメ価格は「一時的下落も効果続かず」5割
政府による一連の備蓄米放出でコメの販売価格が今後どうなると思うか聞くと「一時的に下がるが効果は続かないと思う」が51.3%で最多となり、「ほとんど変わらないと思う」24.5%、「下がって落ち着くと思う」9.6%、「長期的には逆に値上がりを招くと思う」4.8%だった。「わからない」は9.8%。


「一時的に下がるが効果は続かないと思う」とした人を年代別に見ると、20代が3割台で、40代以上の各層がいずれも5割台となり、全体的に年代が上がるにつれ増える傾向があった。地域別では、東北の6割台が最高だった。支持政党別に見ると、公明党が7割台など高水準だった一方、最低は参政党の2割台だった。

標準品質米の適正価格「2,000円台」4割
農林水産省の発表によると、全国約1,000店舗のスーパーでのコメの平均販売価格は、25年5月19日から25日までの1週間では、5kg当たり4,260円(消費税込)。これを「とても高いと思う」66.4%が最多となり、次いで「高いと思う」28.6%だった。「とても高いと思う」とした人を支持政党別に見ると、公明、共産両党とれいわ新選組の7割台などの高さが目立った。

適正だと考える標準的な品質のコメの価格(5kg当たり)の目安の上位は「2,000円台」46.5%、 「3,000円台」28.7%、「2,000円未満」17.8%の順となった。

コメ輸入「拡大すべき」「拡大すべきでない」拮抗
コメの価格を落ち着かせるため、コメの輸入を「拡大すべきだと思う」39.8%、「拡大すべきではないと思う」39.6%、「わからない」20.6%となった。「輸入を拡大すべきだと思う」を選んだ人を男女別に見ると、男性は4割台だったのに対し、女性は2割台だった。地域別では、中国が5割台で最多となり、北海道と沖縄が2割台で最低だった。支持政党別では、自民党、立憲民主党、日本維新の会、参政、日本保守党が5割台で最も高く、共産の2割台が最低だった。


備蓄米放出は「価格抑制必要なので適切」75%
コメ価格高騰対策としての政府による備蓄米放出について「価格抑制は必要なので適切だと思う」が75.1%に達し、以下は「価格形成は市場に委ねるべきなので適切ではないと思う」9.7%、「価格抑制は必要ないので適切ではないと思う」1.9%などだった。「価格抑制は必要なので適切だと思う」とした人を地域別に見ると、中部、四国、沖縄が8割台で最高となり、北海道の6割台が最低だった。

政府備蓄米を「購入したいと思う」が52.6%を占め、「購入したいとは思わない」24.8%、「わからない」22.6%だった。「購入したいと思う」とした人を年代別に見ると、20~40代は4割台だったのに対し、70代以上は6割台に上り、全体的に年代が上がるほど増える傾向にあった。地域別では、東北が3割台で最低となり、次いで関東の4割台が低かった。支持政党別では、参政の2割台が突出して低かった。

「買い占めによる流通の目詰まり」が首位
政府が当初、一般競争入札で主食用の国内コメ消費量の半月分を超える約31万トンの備蓄米を放出したが、コメの販売価格はほとんど変わらなかった原因を複数回答で聞くと「買い占めにより流通の目詰まりが起きているから」45.6%が首位となり、以下「コメの値上がり要因を適切に分析できていないから」41.5%、「備蓄米の落札価格が高いから」37.6%、「コメの投機的取引が行われているから」36.1%と続いた。

「買い占めにより流通の目詰まりが起きているから」とした人を地域別に見ると、近畿、中国、四国が5割台で最も多く、北海道、東北が3割台で最低だった。支持政党別では、公明、共産、保守各党とれいわが5割台で最高だった一方、立憲と国民民主党が3割台で最低だった。

コメ価格下落は農家の経営を圧迫するか
コメの価格が下がるとコメ農家の経営を圧迫するとの意見に対し「そうは思わない」40.7%、「そう思う」35.5%、「わからない」23.8%だった。「そう思う」とした人を地域別に見ると、東北が5割台で最高となり、最低は九州の2割台だった。支持政党別では、れいわが6割台で最も高かった一方、参政が2割台で最低だった。自民、維新、共産、「支持する政党はない」とする無党派層は3割台、立憲、国民民主、公明、保守は4割台だった。

現在のコメの価格高騰を巡る課題について「コメの価格上昇そのものにあると思う」とした人が50.7%を占め、「価格が上昇したコメを十分に買えない所得水準の低さにあると思う」を選んだ人は38.8%だった。

「価格抑制へ農家公費補助を」47%
燃料や肥料などの価格高騰を踏まえ、コメの販売価格について、「生産コストが増えれば上昇するのは仕方ないと思う」を選んだ人は39.6%、「抑制するために公費で生産者を補助するべきだと思う」とした人は47.0%となった。

「価格抑制のため公費で生産者を補助するべきだ」とした人を地域別に見ると、北海道、関東、四国が5割台で最多となり、東北、中部、中国が3割台で最低だった。年収別では、収入のある層では300万円未満の各層が5割台で、1,000万円以上の各層では3割台となるなど、全般的に年収が上がるほど低い傾向があった。支持政党別では、公明、れいわ、参政の7割台などの高さが目立ち、最低は自民の3割台だった。


参院選比例投票先で立憲と国民民主が同率
夏の参院選の比例代表で投票したい政党、投票したい候補者が所属する政党を聞くと、自民12.2%(前回25年5月26日調査13.1%)が首位を維持し、立憲6.2%(8.6%)、国民民主6.2%(7.5%)、維新4.1%(5.0%)、れいわ3.0%(3.1%)と続いた。未定は48.9%。前回調査では立憲が国民民主を上回っていたが、今回は立憲と国民民主が並んだ。

回答者1,000人の属性、各設問のグラフや解説などは、2ページ目以降に掲載しています。
クロス集計が入った調査結果資料はこちらのPDFファイルからご覧ください。

KSIオンライン調査とは
新産業に挑戦する企業に対して政策活動やリスクマネジメントのサポートなど、パブリックアフェアーズ領域で総合的なコンサルティングを行う紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都港区、代表取締役:別所 直哉)は、月に2回程度、時事関係のトピックを中心としたオンライン調査を、全国の18歳以上の1,000人に行っています。
調査資料やデータの利用、取材や放映などのお問い合わせ、新規調査案件のご相談は、本ページの最後をご覧ください。

 

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